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TOOLHUT ( ongoing )

長野県上田市のワイナリーの計画である。

施主は2016年よりVineyard(ブドウ畑)をスタートさせた新進気鋭のVigneron(ワイン生産者)である。自然に寄り添う農法により生まれるナチュラルワインは、これまで多くのファンを獲得してきた。当初より畑は自社保有であったが、醸造の過程は委託であったため満を持して自社Winery(醸造所)をつくる運びとなった。

敷地は市内から少し外れた田園風景の中に位置する。敷地のすぐ北側には県道が走り、南側の山に続く斜面には施主のブドウ畑が広がっている。

切実なコストの問題もあり、構造は木造と半ば自然に決まった。屋根は歩留まりのよい矩勾配とし妻側の立面は単純な家形を採用した。それに対し平側の東西に伸びる軒桁と棟木は同角度で少し傾けてみる。するとそれによって軒高が緩やかに変化し、妻の家型もやや偏心した形に変化した。片側の妻から反対側の妻を臨むと偏心した家形が徐々に反転していく不思議な現象が現れた。この“ねじれ”の架構に沿って、気積の大きな醸造室、熟成室のハコを挿入し、架構とハコの隙間にできた余剰空間には副次的な室を配する。

施主のワインへのエッセンシャルな仕事の姿勢に倣い、余剰を排除する研ぎ澄ました建築を目指した。ワイン作りの為のタンクや樽などの道具と同様に、この建築もいち道具として使い倒して欲しいという願いを込め、「TOOLHUT」と名付けた。

​Client Sail the ship Winery

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©2025 SAHORI OHSAWA Architects

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